研究職として働いているので、情報収集目的で論文を読みます。
さらに部署内で1つの論文について議論する輪読会があり、月に1度担当になります。担当は議論する論文を決めて、それを詳細に読み込んで内容を紹介するスライドを作成する必要があります。
日本語の文章なら抵抗なくこれらの作業をこなせるのですが、一番の問題は論文は英語で書かれているということ。チェックするだけでも心理的ハードルがありますし、ましてや読み込むとなるとさらにハードルが上がります。
苦手なりに足掻いてきた結果、内容をさっとチェックして必要があれば精読するという流れのコツが自分の中で確立してきたのでまとめました。
振り返ると、日本語で書かれた文章の読み方と同じだったのです。

photo credit: » Zitona « via photopin cc
理系の研究者なので、研究分野によって形式が異なっていたらごめんなさい。論文は基本的に次のように構成されています。マテメソが最後に来たりなど、各項目は順番が変わる場合があります。
次のような流れでチェック、精読しています。
チェック
Title
↓
Figures & Tables
↓
Abstract
この時点で精読するか判断します。
精読
図表が登場する本文の文字を検索して線を引く
↓
ConclusionsとIntroductionの後半
↓
Materials & Methods
↓
Results & Discussion
↓
Introduction
1つ1つ詳しく見ていきます。
ここではその論文を精読するかを決めます。雑誌の最新号の目次をざっと見る状況が多いです。
まずはタイトルですね。タイトルの意味すべてを理解しようとするのではなく、単語をスキャンするイメージです。研究分野に関係する単語があったら、しっかりとタイトルを読みます。
アブストを読む前に、先にざっと図表を見ます。文章よりも図表の方がおおまかな内容を速く簡単に理解しやすいからです。
この時点では図表をつぶさに読み込むのではなく、何のデータなのかをおおまかに把握します。
ここまで来てさらに気になるのであれば、Abstractを読みます。絶対ではありませんし別の書き方もありますが、Weから始まる文章には著者が実施したことや発見が書かれている場合が多いです。
この時点で、論文を最後まで丁寧に読むかを判断します。

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この論文を詳細まで読むと決めた場合の読み方です。私は次に示す1の作業と見やすさのため、紙に印刷しています。
読んでいて、著者の主張だと思われる大事な文章やつっこみたい内容は、該当箇所に線を引いてどんどん日本語で書き込みます。自分が後で理解できればいいので、単語や短文でかまいません。
何もしないと英文を読んだ時には理解できますが、また忘れて何度も英文を読むことになるからです。
論文に載っている図表は、必ず本文中に登場します。その部分を一目でわかるようにします。私は本文中の「Figure 1」「Table 2」といった図表が引用されている部分に蛍光ペンで線を引きます。
PDFやHTMLで閲覧できる場合に限りますが、検索機能を活用しています。「Fig」「Table」「Scheme」などの単語で検索して、ヒットした部分と紙媒体を照らし合わせて線を引きます。
こうする理由は、図表は著者の主張の土台となるものだからです。根拠となるデータを理解して、はじめて著者の主張に現実味が出てきます。
図表が登場する前後の文章は、著者がなぜそのようなデータを出したのか、そのデータから何が言えるのかといった、重要な文章が多く含まれます。
いきなりですが、結論から読みます。アブストに似ている場合もありますが、ここに著者が最も主張したいことがまとまっているからです。
著者の研究目的はIntroductionの後半に書かれる場合が多いのでここも読みます。新しい段落で、「In this study, ...」といった出だしに着目します。
実験の方法についてチェックします。慣れると標準的な手法が理解できているのでさっと読めるのですが、慣れないうちは自分の分野の勉強だと思って丁寧に読みます。
慣れないうちは、その分野の歴史や主流の研究手法が書かれているので勉強になります。ここはさっと目を通すのみの場合が多いです。
まとめますと、まずは著者の主張とその根拠を把握します。それから実験のやり方や研究背景など細かい部分を読みます。
最初から一字一句を理解する必要はありません。詳細は誤っていてもいいので、全体の大筋を把握するのが先です。そこから細かく見ていきます。日本語で書かれた文章の読み方とそう変わらないはず。
研究室に配属された時、何もかもやり方がわからなくて落ち込む毎日でした。悩まされたものの1つが、関連文献を読むことと研究分野の最新トピックを追うことでした。
何もわからなかったあの時に、最良かは別としてこのような読み方があると知っていれば、少しは楽だったのではないかと思います。そんな昔の自分や同じ立場の人に向けて今回の記事を書きました。
最初からすらすらと読めないのは誰でも同じです。諦めずに読む本数をこなせば、以前よりは必ず楽に読めるようになりますよ。
さらに部署内で1つの論文について議論する輪読会があり、月に1度担当になります。担当は議論する論文を決めて、それを詳細に読み込んで内容を紹介するスライドを作成する必要があります。
日本語の文章なら抵抗なくこれらの作業をこなせるのですが、一番の問題は論文は英語で書かれているということ。チェックするだけでも心理的ハードルがありますし、ましてや読み込むとなるとさらにハードルが上がります。
苦手なりに足掻いてきた結果、内容をさっとチェックして必要があれば精読するという流れのコツが自分の中で確立してきたのでまとめました。
振り返ると、日本語で書かれた文章の読み方と同じだったのです。

photo credit: » Zitona « via photopin cc
論文の構成
理系の研究者なので、研究分野によって形式が異なっていたらごめんなさい。論文は基本的に次のように構成されています。マテメソが最後に来たりなど、各項目は順番が変わる場合があります。
- Title(タイトル)
- Author(著者・所属)
- Abstract(要約。アブスト)
- Introduction(導入部分。イントロ)
- Materials & Methods(実験材料・方法。マテメソと略すことも)
- Results(実験結果)
- Discussion(実験結果を踏まえた考察)
- Conclusion(結論)
- References(論文中で引用した参考文献)
私の読み方
次のような流れでチェック、精読しています。
チェック
Title
↓
Figures & Tables
↓
Abstract
この時点で精読するか判断します。
精読
図表が登場する本文の文字を検索して線を引く
↓
ConclusionsとIntroductionの後半
↓
Materials & Methods
↓
Results & Discussion
↓
Introduction
1つ1つ詳しく見ていきます。
チェック
ここではその論文を精読するかを決めます。雑誌の最新号の目次をざっと見る状況が多いです。
1. Title
まずはタイトルですね。タイトルの意味すべてを理解しようとするのではなく、単語をスキャンするイメージです。研究分野に関係する単語があったら、しっかりとタイトルを読みます。
2. Figures & Tables
アブストを読む前に、先にざっと図表を見ます。文章よりも図表の方がおおまかな内容を速く簡単に理解しやすいからです。
この時点では図表をつぶさに読み込むのではなく、何のデータなのかをおおまかに把握します。
3. Abstract
ここまで来てさらに気になるのであれば、Abstractを読みます。絶対ではありませんし別の書き方もありますが、Weから始まる文章には著者が実施したことや発見が書かれている場合が多いです。
この時点で、論文を最後まで丁寧に読むかを判断します。
精読

photo credit: photosteve101 via photopin cc
この論文を詳細まで読むと決めた場合の読み方です。私は次に示す1の作業と見やすさのため、紙に印刷しています。
読んでいて、著者の主張だと思われる大事な文章やつっこみたい内容は、該当箇所に線を引いてどんどん日本語で書き込みます。自分が後で理解できればいいので、単語や短文でかまいません。
何もしないと英文を読んだ時には理解できますが、また忘れて何度も英文を読むことになるからです。
1. 図表が登場する本文の文字を検索して線を引く
論文に載っている図表は、必ず本文中に登場します。その部分を一目でわかるようにします。私は本文中の「Figure 1」「Table 2」といった図表が引用されている部分に蛍光ペンで線を引きます。
PDFやHTMLで閲覧できる場合に限りますが、検索機能を活用しています。「Fig」「Table」「Scheme」などの単語で検索して、ヒットした部分と紙媒体を照らし合わせて線を引きます。
こうする理由は、図表は著者の主張の土台となるものだからです。根拠となるデータを理解して、はじめて著者の主張に現実味が出てきます。
図表が登場する前後の文章は、著者がなぜそのようなデータを出したのか、そのデータから何が言えるのかといった、重要な文章が多く含まれます。
2. ConclusionsとIntroductionの後半
いきなりですが、結論から読みます。アブストに似ている場合もありますが、ここに著者が最も主張したいことがまとまっているからです。
著者の研究目的はIntroductionの後半に書かれる場合が多いのでここも読みます。新しい段落で、「In this study, ...」といった出だしに着目します。
3. Materials & Methods
実験の方法についてチェックします。慣れると標準的な手法が理解できているのでさっと読めるのですが、慣れないうちは自分の分野の勉強だと思って丁寧に読みます。
4. Introduction
慣れないうちは、その分野の歴史や主流の研究手法が書かれているので勉強になります。ここはさっと目を通すのみの場合が多いです。
さいごに
まとめますと、まずは著者の主張とその根拠を把握します。それから実験のやり方や研究背景など細かい部分を読みます。
最初から一字一句を理解する必要はありません。詳細は誤っていてもいいので、全体の大筋を把握するのが先です。そこから細かく見ていきます。日本語で書かれた文章の読み方とそう変わらないはず。
研究室に配属された時、何もかもやり方がわからなくて落ち込む毎日でした。悩まされたものの1つが、関連文献を読むことと研究分野の最新トピックを追うことでした。
何もわからなかったあの時に、最良かは別としてこのような読み方があると知っていれば、少しは楽だったのではないかと思います。そんな昔の自分や同じ立場の人に向けて今回の記事を書きました。
最初からすらすらと読めないのは誰でも同じです。諦めずに読む本数をこなせば、以前よりは必ず楽に読めるようになりますよ。
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(記事編集) http://toyu3.blog.fc2.com/blog-entry-34.html
2012/10/13 | Comment (4) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |